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格安女子旅は「業務レンタカー」で叶う——福岡空港から始まる佐賀・吉野ヶ里への5日間

エッセイストという仕事をしていると、時々「好きなことを仕事にしているんだから、お金に困らないでしょう」なんて言われることがある。でも実際は、原稿料だけで暮らしていくのは思ったより大変で、夫の収入と合わせてようやく東京でなんとか生活できているというのが正直なところ。だからこそ、旅行に行くときは徹底的に節約する。でも、ケチケチするだけじゃつまらない。私が目指すのは「賢く削って、贅沢に楽しむ」旅なのだ。

今回の女子旅は、大学時代からの親友・麻衣との二人旅。彼女も私と同じく「旅は好きだけど予算は限られている」タイプで、二人で「とにかく安く、でも思い出に残る旅を」と意気投合した。行き先は佐賀の吉野ヶ里遺跡。歴史好きの麻衣がずっと行きたがっていた場所で、私も古代ロマンには興味があったから即決だった。

問題は、どうやって予算を抑えるか。飛行機はLCCで福岡空港まで往復2万円弱。宿はゲストハウスや格安ビジネスホテルを選んで1泊3,000円程度。そして最大の悩みが、移動手段だった。

福岡空港から吉野ヶ里遺跡までは、公共交通機関でも行けないことはない。でも乗り換えが多くて不便だし、せっかく九州に行くなら他の観光地にも立ち寄りたい。レンタカーがベストなのは分かっていたけれど、大手レンタカー会社の5日間料金を見て愕然とした。軽自動車でも3万円近くするなんて、宿代より高いじゃないか。

諦めきれずにスマホで「福岡空港 レンタカー 格安」と検索していたら、目に留まったのが「業務レンタカー」という名前だった。最初は「業務って、法人向けなのかな?」と思ったけれど、サイトを見てみると個人でも全然問題なく借りられる。そして何より驚いたのが、その料金の安さだった。

5日間で軽自動車が15,000円前後。大手の半額じゃないか。「安すぎて逆に怖い」と麻衣に相談したら、「口コミ調べてみようよ」と言われて二人でスマホを並べて検索大会。すると意外にも悪い評判がほとんどない。「車は古めだけど普通に走る」「スタッフの対応は丁寧」「とにかく安い」という声が多かった。

総額で比較してみると、大手で借りれば往復航空券とレンタカーだけで5万円コース。業務レンタカーなら3万5,000円で済む。浮いた1万5,000円あれば、美味しいものが何回食べられるだろう。私たちの答えは決まっていた。

案内されたのは、白い軽自動車。確かに新車ピカピカという感じではないけれど、清潔に掃除されているし、気になる傷や汚れもない。「走行距離11万キロか、結構走ってるね」と麻衣が言ったけれど、私の感覚では「ちゃんとメンテナンスされているなら問題ないでしょ」という感じ。実際、エンジンをかけてみると普通に静かだし、エアコンもカーナビもちゃんと作動した。

「この値段でこれなら十分すぎるよ」

麻衣も同意見だったようで、二人で荷物を積み込んで、いざ出発。

福岡空港から吉野ヶ里遺跡までは、高速道路を使えば1時間ちょっと。都内で運転することに比べたら、九州の道路は広くて走りやすい。軽自動車でも高速道路は問題なく走れたし、燃費も思ったより良くて、ガソリン代も予想より安く済んだ。

道中、麻衣が「やっぱりレンタカーにして正解だったね」としみじみ言った。確かに、バスや電車で時刻表を気にしながら移動するより、自分たちのペースで動ける自由は何物にも代えがたい。途中で気になった道の駅に立ち寄ったり、「あ、あそこ良さそう」と思った景色の場所で車を停めて写真を撮ったり。こういう寄り道こそが、旅の醍醐味だと思う。

そして何より安心だったのが、車のトラブルが一切なかったこと。古い車だからといって故障するわけじゃない。きちんと点検・整備されていれば、問題なく走ってくれる。業務レンタカーは業務用として日々使われている車を貸し出しているから、むしろメンテナンスには気を使っているはずだ——そう考えると、この価格で提供できる理由も納得できた。

吉野ヶ里遺跡に着いたのは、ちょうどお昼過ぎ。広大な敷地に復元された弥生時代の集落を見て、二人とも「わあ…」と声を上げてしまった。教科書で見た風景が、目の前に広がっている。

高床式倉庫、竪穴住居、物見櫓。どれも丁寧に復元されていて、中に入ることもできる。当時の人々の暮らしぶりを想像しながら歩いていると、不思議と2,000年前の世界に迷い込んだような気持ちになる。麻衣は興奮して写真を撮りまくっていたし、私はエッセイのネタになりそうな風景をスケッチブックに描き留めた。

遺跡内を3時間ほどかけてゆっくり見学して、お土産に古代米を買った。レンタカーがあるから、荷物が増えても全然平気。これが電車移動だったら、重い荷物を持って歩くのが嫌で買い控えていたかもしれない。

その後の5日間、私たちは佐賀だけでなく、長崎や熊本にも足を延ばした。レンタカーがあるからこそできる、自由気ままな旅程。早朝の海を見に行ったり、夕暮れ時の温泉街をドライブしたり。時刻表に縛られない旅は、想像以上に心が解放された。

宿は相変わらず格安のところばかりだったけれど、移動にお金をかけなかった分、美味しい地元の食べ物にはちょっと贅沢できた。佐賀牛のステーキ、長崎ちゃんぽん、熊本の馬刺し。どれも最高だった。「節約したお金で、本当に価値あるものにお金を使う」——これが私たち流の旅の哲学だ。

東京に戻ってから、旅の総費用を計算してみた。航空券2万円、レンタカー15,000円、宿代15,000円、食費・観光費その他で3万円。合計8万円ほど。もし大手レンタカーを使っていたら、9万5,000円くらいになっていた計算だ。

1万5,000円の差は、一見小さく見えるかもしれない。でも私たちエッセイストにとって、1万5,000円は原稿2本分の収入に相当する。それを浮かせることができて、しかも旅の質が落ちなかったのだから、業務レンタカーを選んだのは大正解だった。

「安い」には理由がある。でもその理由が「サービスの質が悪いから」ではなく、「無駄を省いているから」なら、それは賢い選択だと思う。業務レンタカーは、豪華な店舗も要らない、過剰な営業トークも要らない、ただシンプルに「移動手段としての車」を提供してくれる。それで十分だった。

今度は夫を連れて、また九州に行きたいな。もちろんレンタカーは、業務レンタカーで決まり。浮いたお金で、今度は温泉宿にちょっと贅沢しようかな——なんて、もう次の旅の計画を立て始めている自分がいる。

旅は、お金がなくても諦める必要はない。知恵と工夫で、いくらでも豊かな体験ができる。そのことを、この5日間の女子旅が改めて教えてくれた。